働かざる者食うべからず

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ふいに歓声があがった オレを取り囲む数多の軍勢 魔を目の敵にする人間達の勝利の歌声 勝鬨の咆哮はこれからの生への感激の涙 憎い憎い魔族との戦争に勝ち ついに魔王一人だけにした勇者への讃美歌 最後に残った芥子粒を早く殺してくれと願う嘆願 その声援に押されるように前にでてきた 一人の女 戦場だというのにまったく汚れていない躰 不器用なオレと違い斬りふせてもその噴血が当たらないよう殺す芸術染みた殺人技術 あの女は変わらないなと自然と微笑むオレ 向こうも同じような心境だったのか ほくそ笑む 黒いワンピースを着た 勇者
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