働かざる者食うべからず

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互いの剣を取り出して 閃光のような速さで斬り合う 武術を無視した純然たる殺し合い その一太刀で確実に相手の命を刈り取ろうと 手を休めずに踊る 剣がぶつかるたびに衝撃がはしり 大気を揺らして轟く 回りを囲んだ人間の軍はすでにいない 皆その爆発する魔力に踏ん張りきかずに飛ばされた 血飛沫がまう それは少年の血であり少女の血だ その無傷だった躰に幾つもの切傷ができていく しかし二人は気にしない 痛みすらも愛しく この踊りこそが全てで 終わりない夢廻のなか 死なないために笑い続ける どれくらいの時間の果てか 最後の剣は お互いの心臓を突き刺した 熱い血が剣をつたい手に滲む ―――ああ ―――やっぱり ―――由岐の血はいいなぁ
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