働かざる者食うべからず

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事務所は街の北側に位置する建物の一室 これはどこかの古墳かと思えるくらいに空気が沈殿している不健康極まりない部屋だった まず書類が部屋を埋めつくし踏み場という踏み場はない 最初は堂々とふんずけていくアシリアさんの後ろを恐る恐るついていったものだが 今ではもう馴れたもの 必要な分は全てアシリアさんの机に散乱しているし 掃除しようとしたら 「やめろ、物がどこにあるかわからなくなる」 と勤務二日目に釘を刺された 部屋や業務用の机にはその持ち主の心象風景の具現化するとどこかで聞いたが ここまで酷いとぐうの音もでない アシリアさんの机が唯一の窓の恩恵を浴びる位置にあり オレと由岐は対で部屋の両側 入口横はもはや入りきらなくなった資料棚で 床一面は真っ白 これを笑わずしてなんになる
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