第2話 恐怖への序曲

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 俺が弁当を食べ終わると、菊正宗は携帯を見つめて固まっている!! 『大丈夫か! 菊正!』 充は心配して菊正に優しさの溢れる声で話かけた。 「悪い……大丈夫じゃねえかも……」 こんな暗い菊正の表情を見るのは充は初めてだったので困惑していた。 いつもの明るくハツラツとした表情は見る影も無くなり真夜中に迷子になった子供の様に不安そうなを瞳をしている。 『何があった?』 充は、菊正に重々しい言葉をかけた。 「俺の彼女が……消えちまったみたいだ……」 菊正は半分泣きそうな顔で充に助けを求めた。だが、充もどうしてよいのかわからない様子で、頭を抱えて悩んでいる。その表情は焦りと苛立ちが混じりあっていた。 俺は、女の子は慰める事は出来たけど、男の慰め方は知らなかった……俺はどうすればいい? あ! 俺は大切な事を忘れていた! 充は考え込んていたが、何かに気がついたのかその瞳には光が宿った。強い意思が感じられる。 『なあ……俺もその失踪事件の幽霊を追っていて、その幽霊に襲われたんだ。だから俺はその幽霊と戦うつもりだ。お前の彼女も俺が助けてやる!!』 充は、菊正の肩を掴んで熱を帯びた言葉で語りかけた。「そうか……そうかぁ!! その手があったか!! よし。ネガティブタイム終了!!」 菊正宗の表情が明るくなった。これていつもの落ち込む事のない前向きな菊正に戻った。 これから俺達の戦いが始まる。 仲間がいると心強いな。 充は決意を新たに前に進み出した。戦う者として歩む道を選んだのだ。
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