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また寒気がする……鳥肌が立って来た。
『菊正聞いてみるぞ』
充は菊正の携帯電話の伝言を聞く体制に入った。その表情は恐怖の色が隠せない。
「頼む俺は無理だ」
菊正はすがる様な表情で充を見つめた。
『わかった任せてくれよ!』
恐いけど……友達の為だ。
頑張らないと。
[菊ちゃん~。何か変な空気なの【ピシ!】変な音も聞こえるの。
怖いから、今からそっちに行くね!
怖いなぁ……今日は何でこんな寒いの?]
【ソレハ……ブツ!】
なにぃ!? 何でもこんな中途半端な所で!
でも最後の所に変な声が入っていた。
低い女性の声でソレハ……と。
でも、もう一回聞く勇気が無かった。
まだ心臓が破裂しそうなくらいに激しく動いている。
あの声を聞いた時は、心臓を握られた感覚で潰れるかと思った。
『菊正。お前の彼女は、変な音がして、怖くてお前に会いに来る筈だったんだ……』
「そっか……俺に会い……何で俺はあの時に気がつかなかったんだ。変な予感がしたのに……ああ~!!」
どう励ませばいいのだろう?
これで行くか!!
『菊正……お前の彼女は生きている。俺の勘がそう言ったんだ!』
充は菊正の肩を掴み熱心に励ました。
「お前の勘は外れた事が無いもんな。信じるよ!」
菊正は元気な表情に戻り充の手を強く握りしめた。
頑張るしかねえ。嘘をついた事は嫌だけど、俺は信じる嘘なら本当にしてしまえばいいんだ!
充は強い意思を込めた瞳で空を見つめると、力強く校舎に向かって歩み出した。その後に菊正もついて行った。
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