第2話 恐怖への序曲

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 やれやれ……ここまで、騒が大きくなる何て。 柄に無く熱くなっていたからな。 その時、満喫全体の空気が変わった。 震える位に寒くなって来た。 それなのに、空気が乾いている。 手前から、電気が消えてきてる!! 女の子の幽霊は俺の後ろに隠れている。 幽霊なのに、ガクガクブルブル震えている。 菊正宗は、人間なのに何事も無い様にポカンと口を空けている。 さすが、霊感0の男だ。 ある意味で尊敬する。 遂に俺の手前の電灯が消えて、そこで電気が消えるのは止まった。 また俺のお客様かよ。 俺はもうどうでも良くなって、その場に座り込んだ。 もう、十分生きて皆の為になれたよな? 一番最初に出来たモバ友達に、さよならを言いたかったけど、もう心臓が止まりそうだ。 俺の勘が言っている。 俺はここで、死ぬと。 死因は、心臓マヒだろう。 後一押しで止まる。 この強力な霊なら容易な事だ。 もう脅える事に疲れたよ……早く楽にしてくれ。 この時、充は生きるのを諦めた。 強い癖に、生きる力がまだあるのに。 あの人も、この光景を見たのだろうか? 僕では辿りつけない境地にいたあの人も。 僕にあの人の代わりが出来るのだろうか? あの人すらも死んだのに。 この“力”も、あのが僕にくれた力。 あの人が生きていれば……今の状況にはなっていないだろう。 本当に救いようがない状況というのは原状だ。 今、部屋の中でへばっている充に教えてあげたい。 本当の絶望は、こんなに生優しいものではないと。
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