第2話 恐怖への序曲

3/49

12668人が本棚に入れています
本棚に追加
/567ページ
 どれどれ? 知らない事を知る時の充の目は生き生きしている。 「リンゴちゃんの友達の方ですか? 彼女と連絡が取れていますか?」 やはりリンゴちゃんの友達か……。 先ほどの大量の足跡を残した一人からの伝言だ。 『いえ。取れていません。貴方もでしたか……元気だったのに、心配ですよね……』 これでよし……しかし彼女が放置するのは、彼も意外だったようだな……。 彼は2時間も林檎に連絡を取っている。 学校も同じで、無断欠席した林檎を心配していた。 彼女の伝言板に同級生がいたから知ったのだが。 いつもこの時間には、モバに来ているのに……。 充は心配そうな瞳で林檎のアバを見つめている。 しかし、何か落ち着かないな……胸が焼けるようだ!! 日記のコメント返しでもしながら待つか……。 充は憂鬱な表情で日記のコメント欄を見た。 いつもの様にバックボタンを使わないで、いちいちマイページに戻って来よう。 こうする事でコメントが来ても見逃さない為だ。  お! かりんさんからコメント来ている! 今日は仕事じゃなかったのかな? 「この歌聴いた事がないですけど、小太郎さんがオススメなので、聞いてみますね」 へー聴いた事がないんだ……。 充はとても嬉しそうに携帯の画面を覗き込んでいる。 『嬉しいな……オススメの曲を聞いてくれるなんて!有難うです』 彼女は、モバに入って初めて出来た友達だ。 と言っても、もう一人全く同じ時刻に友達になってくれたユッキーも初めてのモバ友達だけど。 初めて出来たモバの友達であると同時に深い知識を持つ年上の女性に充は憧れているのだ。 かりんさんは、仕事オンリーの為に、趣味の話は余り乗って来ないのだけれど……何か嬉しいな……。 充は、かりんに恋心にも似た感情を持ち始めていた。 彼女の日記とコメントは、俺に癒してを与えてくれる。 堅い表情だった充の顔が少しほころんだ。 おっといけない! もう返事が来ているかも! 充は慌ててマイプロフに飛んだ。 何ぃ!? 俺は、マイプロフに戻って寒気がした。鳥肌が全身に立っていた。 充は、激しい狼狽の色を顔に覗かせその場で固まってしまった。
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12668人が本棚に入れています
本棚に追加