第3話 恐怖の感染

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 お母さんが……お母さんが!! 大好きなお母さんが……仲良しのお母さんが!! 「うああ~!」 「落ち着いて下さい!」 これが落ち着いていられるか! 貴方は知らないのよ! 「きっとお母さんは、霊が怖くて近所の家に逃れたんですよ」 やっぱり知らないんだ……モバの幽霊なんてお坊さんが知る筈がないよね。 「でも……私には……前向きに考える事が出来ません。悪い予感で胸が苦しいんです!」 私だけ逃げて、お母さんを見捨てたんだ。 私なんて消えてしまえばいいんだ。 「そんなに、落ち込まないで……諦めなければ希望はありますよ」 鬱病の人の気持がわかった。 こんな時に励まされても、元気が出ない。 涙しか出ない。 こんな後ろ向きな気持になったのは初めてだ。 何が、ポジティブで行きましょうよ! 私のバカ!! 「落ち込まないでいても仕方ないですよ。二階に行きましょう。一階には、霊がいませんでした。それに二階に人の気配があります」 見回りから帰って来た住職さんが、言った事を信じてみよう。 お弟子さんの言葉は、元気をくれなかったけど、住職さんの言葉で元気が出た。 二階に向かうと、白いモヤと、黒いモヤがかかっていた。 お坊さんは、お経を唱えて黒いモヤを消し去って階段を上がって行った。 私も寒い体を勇気ずけて歩きなれた階段を踏みしめてゆっくりと上がって行った。 「開けますよ。準備はいいですか?」 「はい。お母さんを助けて下さい!」 住職さんは、ゆっくりと、頭を縦にふると扉を開けてお経を唱えて中に飛び込んだ。 次々に私の部屋にお坊さんが後に続いてなだれこんだ。 「うわ~!!」 何があったの!? お母さんは無事なの!? 恐怖で動かない足を引きずって部屋を除き込んだ。 「なんてことなの!?」 私はショックで力が抜けてしまった。
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