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クラス全員の視線が今、彼女、神崎ヒカルに集まっている。
俺は最初は文字通り我が耳を疑った。しかし、そうでないのだと分かると、じゃあ冗談を言っているのだろうかとも思った。
しかし、彼女には全く冗談を言っている様子など無かった。小柄な体をピンと伸ばし、その目には何か決意のようなものさえ感じられる。
俺を含めた生徒全員は、まるで珍しい生き物でも見ているかのような目をしていたが、安斎先生だけは本当に発熱していたのではないかと思うほど温かい目で神崎を見つめていた。さっきから何なんだよ、あんた。
一方、当の本人はそんな冷ややかな周りの視線など全く気にする様子は無く、黙って着席したので、そのまま自己紹介の続きが行われる事となった。
そう、これが始まり。
これが、神崎ヒカルと俺の出会い。そして、これから始まる破天荒な高校生活の始まりだった。
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