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「ここは…ニノ姫…誰もいないのか」
何もないただの暗闇の中、俺は一人…。何故ここにいるのかわかりかねるが。
記憶をたどる…。あぁ、千尋を悲しませてしまったのか…。
俺の声も届かない。そうだ…俺は…千尋の側にいないんだったな…。
王の即位をうっすらとしか覚えていない。あの時命が尽きた。
俺は結局何も守れていない…。桜を見る約束も…。
千尋の側にいたかった…。それすらもかなわないんだな…。
だが、この暗闇は何処まであるんだ?
歩いてはみたが出口はない…。寒さも暖かさも何も感じない。
姿は変わらない。足もある。生太刀もある。
時間は流れているのか、止まっているのか。
わからないことだらけだな。
「……さん…」
…?…。何か今聞こえなかったか?
いやそんなはずはない。音も遮られて何も聞こえないはずだ。
少し休むか。どうやら疲れていたようだ。
身体が重くなっている。
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