遙か時空を越えて~第一話~

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「ここは…ニノ姫…誰もいないのか」 何もないただの暗闇の中、俺は一人…。何故ここにいるのかわかりかねるが。 記憶をたどる…。あぁ、千尋を悲しませてしまったのか…。 俺の声も届かない。そうだ…俺は…千尋の側にいないんだったな…。 王の即位をうっすらとしか覚えていない。あの時命が尽きた。 俺は結局何も守れていない…。桜を見る約束も…。 千尋の側にいたかった…。それすらもかなわないんだな…。 だが、この暗闇は何処まであるんだ? 歩いてはみたが出口はない…。寒さも暖かさも何も感じない。 姿は変わらない。足もある。生太刀もある。 時間は流れているのか、止まっているのか。 わからないことだらけだな。 「……さん…」 …?…。何か今聞こえなかったか? いやそんなはずはない。音も遮られて何も聞こえないはずだ。 少し休むか。どうやら疲れていたようだ。 身体が重くなっている。
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