20人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
どれだけの時間が経過したのか。
優はゆっくりと立ち上がり、出窓にある深緑色のカーテンに手をかけた。
少しだけ開いたカーテンの隅から外を見渡すと、雨はまだシトシトと降り続けていた。
荒々しくカーテンを閉め、真っ暗な部屋でまた椅子に腰掛けた。
「うっ。」
優の目からは透明な液体が微量だが流れた。
「なんだよこれ。やめてくれよ。んなわけないだろ。」
優以外は誰もいない部屋で独り事をつぶやきながら、透明な液体を右手で拭き取った。
最初のコメントを投稿しよう!