彼女と電波

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「趣味はなんですか?」 目の前に遊んでいる子供達を見つめているとふと誰かが僕に問い掛けた。 今現在趣味も何にも無い僕は何と答えれば良いだろう? 仕事は無くしてしまったし、これといって趣味も物に対する執着心、興味は特にないのだ。 僕は一体何をすれば良いのだろう。 ふいに不安と焦りが胸元を騒がせ冷や汗が背中を伝った。 「趣味は、なんですか?」 もう一度少し間を置いてからまた同じ事を僕に問う。 それでも僕は構わずじっと黙ってきゃっきゃっと騒ぎ遊ぶ子供達を見つめた。 子供を見ると不思議と癒されるのはきっと僕は保育士か教師に向いているのだろうか。今から勉強するのも良い、と考えたけれどこの歳になるとやはり体力にも限界がある訳でそれに先程上った坂だって半分も行かないうちに心臓が早く脈打ちはぁはぁ。と汗水を拭いながら上ったのだ。 どの道体力が無ければ教師というものは話にならない。 体力作りなどという考えをするだけで疲れてくる。 はぁ、とため息をついてレモネードを飲む。酸っぱさと仄かに甘さが口いっぱいに広がり喉を潤す。美味しい。 「趣味はなんですか??」 そういえば、と我に帰る。 完全に忘れていた。趣味…かぁ。 「……人間観察か、な」 そう言うと相手は満足したようにくすくすと笑い僕の隣へ座った。 僕は少し驚いてちらりと右を向く。 セミロングの黒に近い茶髪。中学の制服かと思われる紺のブレザーと紺のスカート、ブルーのワイシャツに緑のリボン、悪趣味な宇宙人らしきストラップがついた携帯を持ち肩にスクールバックをしょいながらニッコリと笑ってこちらを向いていた。
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