彼女と電波

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僕は小首を傾げて再び子供達を見つめる。 一緒に遊んだらきっと僕は倒れてしまいそうだ、いやでもそれはそれで本望かもしれない。多分。 「やはり、あなたには不思議な力を持つ存在です!いつその魔力を手に入れたんですか!?どうやったら選ばれし者になれるんですか!?」 「…魔力?選ばれし、者?」 何だろうこの子といると色々と危ない気がする。僕は反射的に立ち上がって公園をあとにした。 坂の下りは楽だけれどたまにだけ足が止まらない時がある。急な坂ほど下りはとても困難だ。現に今も止まれなくなってしまい電信柱と衝突事故が起こりそうだった。 「…っ」 あぁ僕は何故下り坂で走ってしまったのだろう。自分でも体の事はちゃんと理解しているはずだったのに。 思えば随分と長い人生だったな。 僕は走馬灯を思い浮かべ過去との別れを告げると目をぎゅっと瞑った。 「!!」 誰かに腕を捕まれて後ろへ倒れ込む、腰と地についた手の平がじんじんと痛んで体中に広がる。驚いて後ろを振り向いてみるとキラキラと目を輝かすさっきの少女が先程まで掴んでいた僕の腕を離すかと思うと僕の手を力強く掴んだ。この子絶対僕より握力がある…。 「すごい!!もしかしてあの電信柱の中には秘密の経路とかがあるんですか!?」 あぁ、この子は本物だ。と確信した。 こんな子に付き合う暇などない。とあの時は思っていた。けれどもうその時点で運命は不平等に廻り始めていた。
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