彼女と電波

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「そういえば名前教えていませんでしたね。」 先程から一方的に問い詰められて体力の消耗を覚えた僕は適当に相槌を打っていた。 これといって僕は彼女に興味もなければ名前なんて物にも興味はない。 公園に再び戻り僕は彼女に拷問と言う名の質問の嵐に巻き込まれていた。 大体何故僕はこうもお人よしなのだろうか。普通だったら彼女を罵って逃げる事だって可能だったのに…。 何故だか僕はそれができなかった。何か余計な行動をすればまた彼女は突っ掛かってくるだろうと内心思っていたからだ。 「私の名前はですね……」 ニコニコと若干の照れ笑いで彼女は一方的に話す。 いつまでここにいるのだろう。 いつもだったら子供達が帰るまでいるのだけれど、生憎公園内にある時計もここからでは見ることができない。 早く家に帰り僕は用事を済ませなくてはならないのに。夕方のチャイムはまだか… 「聞いてます?」 にゅっと顔を僕の顔まで近づけさせて驚きながら彼女を見つめる。くりくりと大きな瞳は僕を見ながらきょとんとして首を傾げた。…面倒くさいな。 「聞いてなかったよ。」 そう答えると「もう!」とか「レディに対して酷い!」とかなんとか言われた、まず「君はレディとやらには向いていないし、むしろ今で言う痛い子でしかない。」と僕は口に出して言いたかったが益々面倒な事になりそうだったので開いた口を閉じた。 「だからですね!!!」 彼女はいきなり僕の目の前に立ち腕をくんで仁王立ちの形になった。 どこのいじめっ子だよ。とツッコミたかったけれどそんな暇な時間は与えてくれず彼女は口を開いた。
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