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久々にマルコの部屋に入った気がした。 実際、2日と経っていないのだが、年若い彼にとっては、この2日間は恐ろしく永く感じたに違いない。 (…にしても………) マルコが部屋に帰って来ない。 オヤジに報告に言ったきり、1時間は経過している。 (何か、悪い事があったんだな…) でなければ、マルコが自分を部屋に一人きりにするはずがない…… 今まで、そうだった。 エースは、マルコのベッドの上でゴロゴロ転がっていた。 「あー……クソッ…。早く帰って来いよー……バカマルコ」「誰がバカだい……」 「……あ」 マルコが疲れ顔で帰って来た。 部屋に入った瞬間、ベッドに流れこんだ。 「だ…大丈夫か…?」 マルコは心配なくらい、死んだように動かなかった。 「……なぁ……」 「…あぁ…すまねーな」 その声には力はこもっておらず、いつもより低かった。 「すまねーな…エース……今日は寝かせてくれよい…」 せっかく待ってたのに と、言いところだが、今のマルコの状態を見ると、とてもそんな事は言えなかった。 「ん…じゃあ俺、自分の部屋戻るな……」 残念な気もしたが、彼が元気でいてくれなければ自分も元気が出ない。 ならば、ゆっくり休ませてやろう、と、エースは退室する事にした。 「ちょっと待てよい」 ドアノブに手をかけたところで、後ろから引き止められた。 「ここに居てくれねーのかい?エース……?」 顔が半分こちらを覗いていた。 「え…だって……もう寝るんだろ?」 「お前もここで寝ればいいだろい?」 「…で、でも……」 疲れてるんなら…… だが、エースだってマルコと一緒に居たいのだ。 マルコの体を気遣う気持ちと、一緒に居たいと言う願望が混じりあって、エースは思考停止寸前。 「な…何だよマルコ、寂しいのか?」 つい、口から零れてしまった言葉。 これじゃあ、自分が今日一日、寂しくて、ずっと空を見上げていた事を自白しているのと同じである。 だがマルコは 「あぁ…寂しいよい……だから、お前に居てほしいんだよい…」
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