咲さん。

2/7
前へ
/47ページ
次へ
「亜季は私のこと、好きだもんねー」 ひたすらに上からな貴女。仕方ない。貴女は先輩なんだから。 だけど、言われた言葉が的を射すぎていて、私は言葉を紡げなかった。 「私、咲さん好きです!」 後部座席から言葉が飛んできて、二人きりじゃなかったことに気付く。 「ありがとー。私も結衣好きだよ。……誰かさんと違って」 運転中の貴女は、冷たい視線だけを私に向けた。 ……好きなんて、とっくに通り越してるよ。 ふと心に浮かんだくだらない考えを自嘲した。 「私、咲さん大好きですよー」 言葉なんかじゃ全然足りないくらいに。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加