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白い布で体を覆った青年が口を開く。
白い布は折り目正しく、汚れ一つ見つけることもできない。
この白衣を身に付けた青年の隣には、対照的に黒。
漆黒と言う言葉が似合うであろうスーツを身に付けた壮年の男性が高級そうな革張りの椅子に腰かけている。
「教授!大変です!異次元観測装置が暴走して時空の穴が拡大しています!」
教授と呼ばれた男性は、それでも落ち着き払って短い顎髭をボリボリと掻きむしる。
「何か出てきたぞ。迎えに行ってやれ」
雄に50は越えるモニターに写し出されたのは、異次元観測装置と呼ばれたものから大量の光と共に現れた人間だった。
白衣の青年は急ぎ足で観測室の前に行くと、扉を開けるためにカードキーを取り出した。
しかし、そのカードキーは未来永劫使われる時は来なかったのである。
そう。
観測室は爆発と共に消滅したのだ。
「一体?何が起こったんですか……」
腰を地面に付け、両の手のひらで地面の冷たさを感じながら、青年は砂煙に向かって呟いた。
そして、また言葉を失う。
なぜなら、砂煙が薄らいだそこには、微かに人影が浮かんでいたのだから。
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