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P.T.2nd
午後5時、希望の家。
「本当に…、ナナちゃん先生が?」
愛衣は困惑の表情を隠せない様だった。
「まぁ、挑発に聞こえないでもないな。」
俺は録音していた先生との会話を、愛衣と希望に聞かせていた。
「このままいけば、俺は多分捕まる。
少年法なんて当てにならないからな。」
拘留中に成人すれば、実刑が下る事もある…。
「そう成らない様にする為には…、
犯人を捕まえなければならない。
私情は捨てなければ、馬鹿を見る。」
流石に、場の空気が重くなるのが分かる。
担任を敵視しなければならないのだ…、当然と言えば当然なのだろうが。
「なあ真実…、これからはさ、
ナナちゃん先生犯人説でいく訳だろ?
それをどうやって証明するんだ?」
…希望が言いたい事は分かる。
警察の捜査から1週間は経った。
もう手掛かりと呼べるものは…、校内には無いかもしれない。
「また…、聞き込みしかないな。
今度は被害者の東雲夏帆…、
こいつの事を調べよう。」
「何故、彼女は殺されたのか…、って事?」
「そうだ…、今はそれしか手がない。」
九条先生に聞いた限りでは…、殺される様な奴とは思えないんだが…。
「希望…、復学はいつからだ?」
「明日から行くって言っただろ?
相手の生徒には謝りに行ったから。」
それなら…、希望の手を借りられるか。
愛衣をこれ以上、動かす訳には…、な。
「分かってるよ…、俺が動く。
先ずは、3年の先輩達に聞いてみる。」
「あぁ…、助かる。」
こういう時、部活をしてる奴は有利だな。
他学年に話を聞きに行くのは億劫だ。
上級生ともなれば、更に面倒臭い。
「そんな事して目を付けられたりしない?」
愛衣が心配そうに、希望に聞いた。
「うちの先輩達は話が分かる人達だ。
自宅待機になった時の理由も、
ちゃんと説明してあるからな。」
「愛衣は最近…、心配し過ぎだ。
お前の方は大丈夫なのか?」
あれだけ動いてもらったのだ。
変な噂が流れていないとは言い切れない。
「今の所は大丈夫みたい。
みんな、いつもと変わらないから。」
「だったら良いんだが…、
何かあったら俺か希望に相談しろ。」
「具体的には頭を使う問題は真実、
力を使う問題は俺の方な。」
…それだけが取り柄だからな。
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