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深夜。
雨が上がった後の駅裏の路地。
陰鬱で梅雨特有の湿気を持つその路地に二人の男。
どちらも軽質そうな雰囲気の茶髪と金髪。
俗に言う不良である。自分のテリトリーを独占するような座り方で話しに花を咲かせていた。
「この前の奴は良かったなぁ」
「そうだな。あんだけ抵抗してくれないとヤリがいがないもんな。それにしても上玉だった」
「しかも初めてだったしな。あれ自殺しちゃうんじゃないの」
ギャハハハハハと下劣な笑い。
二人は煙を口元で漂わせている。しかし、その煙の臭いは煙草のそれではなかった。
「それにしてもこれはキクぞ。よくこんな物
手に入れられたな」
「俺に感謝しろよ。それのシガレットタイプはなかなか手に入らないんだからな」
煙を吸って恍惚の表情を浮かべる二人。現世のものとは思えない享楽を感じていた。
そこに一人分の足音。
不良二人組みはその足音の主を睨む。目は血走っていて今にも飛びかかりそうだ。しかし気にせずお構いなしに近づいて来る影。暗さのせいかその人物の顔がハッキリと認識できない。そしてその人物は二人の前に立ち止まり口を開いた。
「お前らが山本と馬場か」
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