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‘自業自得だろう?’
「………!!!」
まだ7、8歳くらいの男の子の声が聞こえた、年齢の割には落ち着きのある声質をしている.
(誰だ…お前はナンだ!!何故こんなことを――うぐっ?!)
首辺りに強い衝撃を受け、反射的に腕を動かすが動(どう)じず少しだけ前のめりになる男.
‘五月蝿(ウルサ)いよ、僕が話してるんだから最後まで聞こうね.オニイサン?’
目を瞑った時に広がる赤黒い空間に、一際闇を纏った何かが遠くの方から歩み寄ってくるのが見える.
得体の知れない何者かが足踏みもせずに近づいてくる様は、鳥肌と冷や汗で恐怖しか生まない.
(……糞っタレがッ)
男は、子供相手に何を怖じ気付いているのかと悪態をつきたがる.
30代も半ばを過ぎたオジサンが、小学校低学年くらいの男の子に怯えているなんてカッコ悪い.
そう思ったのかも知れない、しかし男の子にはそれが狙いの一つだった……
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