恨みます憎みます

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‘可哀想だから声も出せるようにしてあげようかなぁ、最期なんだから話くらいさせてやらないとね’ 男の真上から降ってくる乾いた可愛らしい声と、相容れない内容のミスマッチが男の恐怖を煽りたてる. 男が生唾を飲み込むのを合図に、金縛りを解く男の子. 喉の渇きが少しだけ和らぐのを感じた男は、たまらずに安堵のため息を漏らす. 徐々に躰の自由を許されることに感謝すら抱き始めた男は、恐怖の念は拭い去れないものの… 一度はこの目で、男の子の顔を確かめてみたいと思い始めるのだった. 「ふう…」 二度目のため息を見送り、疲れ切った表情で伏見(ふしみ)がちだった顔を不意に上げる男. 「っ!!!!」 すると眼前には、蒼白い顔で目を見開き血走った瞳で男を見据える幼い顔があった. 「っは…っんぐ…」 呼吸器系が緊張のあまり萎縮し、軽い呼吸困難に陥る男に何の反応も示さない男の子. 何かを訴えかけるように見開かれた目からは、血の涙が流れ始めていた……
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