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「かはっ…っ」
苦痛の表情を浮かべ、目も開けていられなくなった男は決死の覚悟で目を瞑り男の子との目線を遮る.
目蓋の裏に男の子の姿はないが、目の前で赤い涙を流しながら力一杯に視線が注がれていることを思うと身震いが止まらない.
か細く息をする男に、なおも追い討ちをかける男の子の目は剥き出さんばかりに血走っていた…
少し呼吸が安定し始めたところで、男は徐(おもむろ)に口を開く.
「おっオレが…一体、何をしたって云(い)うんだ…!」
男の両目は勢いよく開けられ、額にはじんわりと汗が滲んできていた.
男の子は男の言葉を受けて、急に興味がなくなったのかシレッとした表情になる.
詰まらなそうに視線を外し溜め息を一つ吐くと、投げ捨てるように呟く.
「僕だって、好きでこんなことしてる訳じゃない」
怪訝そうな色で男の子の姿を捉える男には、未だに状況を把握しきれていなかった.
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