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アパートの踊り場から大学の方を眺めると、薄灰色の外壁が目に入った。
外壁は大学を覆う様に聳え立ち、その先には青い空が広がっている。
午前中に降り始めた雨は夕刻を前にぴたりと止んだ。
外壁の表面にもアパートの踊り場のコンクリートにも、微かに雨滴が残っていてゆっくりと重力に引っ張られていく。
夏が近づいているせいか太陽はまだ沈み始めておらず、
陽光が取り残された雨粒に反射し細かい光を放つ。
雨が止んだ夏前の午後。
細い廊下を通り隣の部屋の前まで来ると、微かに漏れ出たレコードの音が聞こえた。
ビートルズの「Let It Be」──
部屋の窓から見るとまだ散らばった雨粒が陽光を受けてそこら中で光っていた。
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