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梅雨時。
この学校に勤めて3ヶ月が経とうとしている。
相変わらずの超荒れ果てた高校。
『由梨ちゃーん、授業分かんない』
「先生…でしょ。」
それに授業聞いてないじゃない。と思いながらその言葉をグッと堪える。
何度も怒鳴ったりしようか迷った。
だけど、この子達は怒ると逆ギレされて私が負けるパターンだから。
「ここの時制をやりますよ。はい、訳して。青木さん。」
『あ?しらねー。ってかさー。昨日のテレビ見た?Shunくんめちゃカッコイいーよね!!もう、あのダンスみたらキュン死だよー』
…。私の質問聞いてた?
ま、こんなの日常茶飯事だけど。
私も人間だから。
それなりの感情は持ってる。
生徒はどうしたら私の気持ち、分かってくれるの?
私…授業してるんだよ。
「ねぇ、授業聞いてる?」
生徒に呼びかけても誰1人返事をしない。
「まぁいいや、さっきの訳は、彼女は昨日病気で休みましたという訳になります。そして…」
こんな説明。絶対無駄だよね。
けどさ…私も一応先生だからさ。
こんなムカつく生徒相手だけどそれなりに可愛いんだよ。
実は気になってる。青木さんが。
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