2030年6月 都内

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緊張からだろうか、手に汗が滲む。深呼吸は全く意味がなかったようだ。 不意に、私をずっと支えてきてくれたマネージャーが肩に手を当てて言った。 「緊張しないで大丈夫よ。あなたの秘密なんて些細なこと。気にしないで、スターになりなさい。」 いつになく優しい言葉。いつも厳しかったマネージャーからは涙声が聞こえてきた。 「ありがとうマネージャー。行ってくるね!!」 泣きそうな瞳をこらえ、笑顔でステージへ向かう。緊張の二文字と汗はマネージャーが取ってくれていた。 司会の一際大きな声が体に響いた。 「本日最後は世界的モデル!!スーパースターアイリス!!!! 真っ赤なドレス調のレインコートから覗く素肌に会場は釘づけ!くびれた腰を強調するような先鋭てきなレインコートだ!!」
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