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「と、いうわけです! 蓬莱海月(ほうらいみつき)さん。貴女は、パートナーであるマモノに見事選ばれた、宿主さんなわけですよー。つまり、マモノビトになれるチャンスを掴まれた幸運な方! おめでとうっ! よっ、おめでとう~っ!!」
「な……納得できることが何一つとしてないんですけど……!?」
うんうん、と目の前でしきりにうなづいているのは、ミシエルと名乗るガイジンさんだ。
ガイジンさん……少なくとも、私はそう信じたい。
髪の毛はサラサラした金髪だし、目の色は作り物みたいなサファイア・ブルー。
背中の方でパタパタしている、二枚の羽根なんか見えないふりをしたい!!
「ええ、ええ。そうでしょうとも。心中お察しします。皆さん、よくそうおっしゃいますからねー」
ミシエルは、こちらの葛藤をそっちのけで、白い羽根をひときわパタパタさせながら、純白のタキシードの胸元からハンカチを取り出した。
ピンク色である。
ハート柄である。
「どうぞ」
「結構です……」
(……なんてうさんくさい!!)
――というのが、今朝、アパートの玄関先で、力尽きていた彼を助けた私こと、蓬莱海月が抱いた第一印象だった。
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