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ところで例の追っ手の仲間、ルルと
呼ばれた少女は電信柱の陰から家の前で立ち往生している涼輔の姿をジッと見つめていた。
「あの家があいつン家なのかなぁ
~?姫も一緒だしぃ…怖がってるカンジじゃナイしぃ……。まさか…っ!」
1人でブツブツ呟いている内にルルはある事を思いついた。
そしてフラフラとした足取りで涼輔の背後へ周りこみ、ものの見事に回し蹴りを頭にお見舞いさせる。
その拍子に落ちそうになった白雪を抱えて涼輔から離れたのは短い黒髪の白雪に少し似た男。
「いっったぁっ!!」
割れるんじゃないか心配になるくらいの痛みに涼輔は家の扉の前に力尽きた。あまりの衝撃に視界が霞んでよく見えない。が、黒髪の男は涼輔の顔の前まで歩み寄り、冷たい一言を残し去って行った。
“貧乏人。”
その男の肩越しに白雪は今にも泣き出しそうな表情で叫んだ。
「涼輔ぇっ!」
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