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白雪はいつものように自室で窓から見える小さな空を見上げため息を漏らす。
あの見事な回し蹴りの日から3日が過ぎていた。
彼女の家は父親が敏腕国会議員で母親が有名化粧品会社の社長とゆう、超お金持ち。
なので彼女のいるこの部屋もまるで宮殿の一室のような広さと豪華さだ。
そんな部屋で1人想い募らせるは涼輔のことばかり。
食事も喉を通らない。
するとコンコンと扉をノックする音が部屋に響いた。
「…白雪さま、今よろしいですか?」
か弱い女性の声が扉越しに届けられる。
「今は1人にしてくださいまし…。どなたともお話したくありませんわ。」
「私です、井上春子です。白雪さまがお食事もままならぬと伺い心配で…。せめてお側でお話だけでもと思い、参りました。」
この井上春子の名を聞くと、白雪はサッと椅子から立ち上がり扉を見据えた。
「…お入りなさい。」
静かに開かれた扉の向こうには、腰まで揺った黒髪のおさげに黒縁眼鏡をかけた気弱そうな少女が立っている。
白雪と同じ制服からしておそらくはクラスメートだろうか。
「あの、白雪さま…、もし私でよろしければお話ください。一体いかがされたのですか?」
黙ったまま白雪は春子を部屋の中央にある椅子とテーブルを指し促した。
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