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唾をゴクリと呑み込み目の前のダーク白雪と対峙すること、約10分。
緊迫した空気の中白雪がズイっとテーブルから体を乗り出して近付いた。
春子は蛇に睨まれた蛙のごとく、口を真一文字に結んで白雪の視線を受ける。
「井上…、あなたはわたくしの味方かしら?」
蛇は今にも蛙を喰わんとしていた。
「お、おおっしゃる意味が解りかねます…、一体いかがされたのですか?」
ふぅっと息を吐いて白雪はまた椅子に腰を下ろし物憂げに頬杖をつく。
「井上は恋を知ってますの?…わたくしは未だに解りませんわ…、どのようにお話したら良いのか、あの方は何も悪くないのにわたくしのせいで酷い目に合われたのですよ…?今更どのようにお会いしたら良いのか…。」
キョトーンと春子は目を丸くして白雪のうっすら染まる頬を見逃さなかった。
「し、白雪さまっ!そそれが恋ではないでしょうか…!私は恋などと思い生活してきたので、どういったものでどのようになどは解りかねますが、…なんとなく…」
「…なんとなく?」
もう頭の中は真っ白でヤケになっていた。
「そうですっ!恋とは、…なんとなく、ですっ!!」
白雪は『恋(?)』を覚えた。
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