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「白雪さまっ!大事ございませんかっ!?」
ワンテンポ遅れて部屋へやってきたのは井上春子。
トレードマークの眼鏡は急いで来たのか相変わらずズレたまま、息を切らして白雪に跳びよる。
「大事ありませんわ。…井上、行きましょう。」
何事も無かったかのように白雪は優しく微笑んだ。しかし、春子には白雪からチラチラほとばしる殺気がどうしても気になって冷や汗がまた背筋を伝う。
登校時は特に白雪はいつもと変わらずまるで百合の花を想わせる美しいたたずまい。
春子はいつも以上に警戒をしながら白雪の様子を窺っていた。
2人が通う白鳥学園では各学年AからDまでのクラス分けがされている。
優秀な生徒ほどAクラスになれる仕組みだ。
しかし白雪のように特別成績も良く親が著名人であったりする生徒が入れるクラスがある。成績も家柄もハイレベルでないと入れないそのクラスは“ガーデン”と呼ばれていた。
学園生活では春子がCクラスの為護衛がままならない。
だから───
彼女がいるのだ。
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