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その青年はグレーの爪入り学生服からして西御伽高校の生徒だろう。
ぼんやり白雪はその青年を見つめる。
「なんだよ、大丈夫か?あんた。」
「マーカス様…」
は?
こいつ頭でも打ったか?
助けた女の意味不明な言葉に青年は呆気にとられていた。
「貴様っ!!」
ふいに後ろの方から大きな怒声が響いてくる。
黒いブレザーの制服を乱して着こなす茶髪の男が物凄い勢いでこちらに迫ってきていた。
「な、なんなんだよ…」
するとクイクイと白雪が制服の裾を引っ張り小さな声で呟いた。
「逃げて下さい。」
はぁ?!
青年の頭の中はぐっちゃぐちゃに混乱しだす。
だけど今にも襲いかかって来そうな茶髪野郎からは逃げなければヤバいと、本能が身体を動かしていた。
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