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火事場の馬鹿力とはこうゆう事でしょうか、青年は普段の何倍ものスピードで町を駆けていきました。
しばらく走り続けて行くと住宅街の狭い路地を見つけ逃げ込む。荒げた息を整えるように青年は壁にもたれながらズルリとその場に座り込んだ。
「あの、わたくし東條白雪と申します…。助けていただき本当にありがとうございました。」
まだ腕の中にいる白雪は近くでゆっくり見てみるとすごく美人だと思ったものの青年は高嶺の花と見た。
「いや…鉄筋落ちてきた件は別に通りかかっただけだし無事みたいだからいいんだけどさ、今追ってきてるの…何?」
美人が目の前にいるとかそんなのどうでもよくなるくらい今の状況に混乱している青年は疲れきった表情で白雪に問う。
「あれは…わたくしたちの愛を切り裂こうとするレア王が放った追ってですわっ。マーカス様…このままどこか遠くへ連れて行って下さいまし!」
ヒシッと青年の胸に抱き付く白雪を勢いよく青年が引っ剥がす。
「俺はマーカスじゃねぇっ!!遠藤涼輔、16歳!日本人でフツーの高校生だから!」
肩を掴んだままバッと話されて白雪はキョトンと首を傾げると、急に何かに気づいたように笑顔を見せた。
「涼輔、ありがとうございます。厄介ついでに今日1日追っ手からかくまっていただけませんか?これは涼輔に拒否権はありませんわ。」
恐らく今日は厄日だ…。
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