water melon

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てっぺん、 まで到達し、 後はおりていく。 人生も同じ。 なら今は、どのあたり? 「……あぁマジ無理」 潤くんがてっぺんで目を閉じる。 閉じた方が怖い、事もある。 高い所は好きやないけど、 だから私は目を開けた。 もう、降りていく。 そして、 リクを見つけた。 随分離れているのにリクは、 こっちを見ているような 気がした。 ピントが合わない。 「……もう、見ても大丈夫かなぁ…… ごめん、情けなくて」 まだ目を閉じたままの潤くんが言い、 私の視線は窓の外、 リクの乗る観覧車に注がれたまま。 「……もう……大丈夫やよ」 位置関係で、 もうすぐリクは見えなくなる。 それでも目を凝らしてみる。 一瞬、嘘みたいにリクと目が合う。 ……アイシテルヨ。 リクの、 唇が、動いた。
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