greap

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バスッッ……………… と、鈍い音をたて、 スイカが割れる。 目隠しを首まで下げた潤くんが 振り返り、 「……やったどー!」 と、ガッツポーズ。 リクが笑い、 空はグレー。 「おー!すごい。 でも砂まみれやんかっ、 潤のアホッ」 って、チカが笑顔を浮かべる。 「アオ、やらんで良かったん?」 砕けたスイカを拾い集め、 リクが訊く。 「……うん」 水着の上に着たワンピース。 その柔らかな膝を抱え、 お尻の下の砂はまだ、 あたたかい。 「……そか。鑑賞で充分か。 後で花火しよな」 リクは微笑み、 私の頭をぽんとたたいた。 チカに囁いたことを全部、 リクに言えばどうするだろうか。 去っていく……? 去っていかない……? 今なら、80%の確率で、 私の元から去っていく。 藤木 陸人とは、 そう言う、人だ。
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