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その後、 リクのいないマンション、で、 チカと私、と潤くんは、 膝を付き合わせる。 ……たぶんほんまにあいつ、 何も知らん感じやわ。 コンビニから出て、 ここに帰って来るまでに、 チカはそう言った。 ……潤、あんたの事まだすごい 好きなんやって。 私には分かる。 ……とも。 「……用事って何か、 あっちゃんも知らんのん!?」 チカが面倒くさそうに買ったアイスを、 少し寒そうに潤くんが食べる。 「……うん……。 朝起きたらいてへんかってん。 携帯も……かかれへんし、 実家にも戻ってなくて……」 「……そうなんや……。 何やろな、用事って。 俺も別に訊かへんかったけど」 言って潤くんが自分の携帯から リクにかける。 「……わ、もうつながれへんわ」 と言うと、テーブルの上に 携帯を置いた。 「……何でもええけど、 なんで潤もあいつも、 このあほいがええんかな。 こんな死にかけより、 ここに健康体の美女がおんのに」 言うと潤くんが唖然とする。 「……おまえっ、アホっ、 死にかけとかいうなっ」 必死な潤くんに、 私はクスクス笑った。 「……ええよ潤くん。 チカちゃんの毒舌には慣れたし」 「……け、けどそれにあほいって……」 言うの忘れてた。 チカは最近私の事を、 あおいではなく、 あほいって呼ぶ。 あほすぎる、とあおいを かけてあほい。 愛があるので、 気にはならない。 「それもええねん。私もチカちゃんのこと、たまにチャーシューって呼ぶし」 「……チャーシュー!?」 「うん。チャーシュー」 笑うとチカがわざとふくれる。 チカは太ってない。 どちらかと言うとスレンダー。 けど、前にはいてた網目の大きい網タイツの時、 太ももの肉がチャーシューぽかったから。
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