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借りたマンションに着く手前、 リクが口を開く。 「あのおっちゃん、 薬飲んでる?」 「うん、抗うつ剤。 けど一向に、ですよ。 私がいてへんようなって 、 悪させえへんことを祈る」 「……悪さ?」 「……うん。 例えば、火事。 例えば、人を傷つける。 そう考えると、 自殺の方がマシかも」 コンマ何秒か。 で、 「……ふうん」 って、リクは言った。 「俺思うに、あの人、 がんばって生きてるけど」 頑張って。 って、はて、あれは頑張って? 「……質問」 「……はい、どーぞ」 「それってつまり逆に 私のことディスってる?」 「……は? そう思うんなら、ご勝手に」 リクが答え、 私の中で怒りが生まれる。 どこにそんな力があんのか。 リクからハンドルを奪う。 けどそんな簡単な事やない。 結局それは呆気なく阻止され、 車体は蛇行。 リクがハンドルを切らなければ、 対向車とは完全に ぶつかっていた。
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