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対向車が鳴らした派手なクラクション。
立ちすくむ通行人。
脇道、
死んだように停車した軽トラ。
すぐ目の前にあるマンションは、
赤レンガが夕陽に染まる。
「……気ぃすんだ?」
サイドブレーキからようやく
手を離すと、
リクは私を見た。
「…………ごめん」
友達って、なんやろな。
友達、おったことないから、
よう……わからんねん。
「……俺も……ごめんな」
リクから出たその言葉に、
やたらドキドキする。
突き放さへんねんな。
友達って。
「……気持ち、煽ったかも」
って言ったかと思えば、
遠くを見て、クスクス笑う。
対向車の、ガラ悪いおっさん、
死ぬほど怒ってたでって、
黒目がちな瞳に、
笑みを浮かべた。
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