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返信を待たずして リクは、 「……時間ないし、行こ」 って促してくる。 罪悪感、と言うものは、 この世に、 ううん、私にも残っててんな。 リクが、 そこらへんのゴミ男たちとは 違うことも、手伝って。 「……何してんの? 行くで」 「……ごめん。行く」 電気を消し、 まだ匂いの無い その部屋を出る。 夜の闇。 絵の具の黒と紺。 その中を走りながら、 このままどこかのガードレール、 ぶつかり、 砕けてもええって 思ってたんを、 リクは知らない。 「……ここは8時で閉まんねんな」 白くそびえ立つ、巨大BOX。 スーパー到着。 日曜雑貨のコーナーへ行く。 閉店間際、と言う事もあって、 人はまばら。 レインボーな カーテンコーナー。 でっぷり太った、 おばさん従業員。 高いキーの、 「いらっしゃいませー」 と、愛想笑い。 「思い出した。 部屋の窓、ふつーよりでかかった。 無いかもなー」 呟くリクの背中が、 カーテンで見え隠れ。 大きさも計ってこなかった。 適当。 「それより、 あんまり可愛く無いのが問題」 テディベア。が、わざとらしい。 刻まれたContry stile。 見りゃわかる。 「あの~お伺いしますけど?」 早く帰りたそう。 このおばさんは、 早く帰りたそうおばさんと命名。 お客様は、神様やで。
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