orange

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結局は、 足が疲れただけ。 お気に入り? ありませんでした。 新しい生活、 別名残りを過ごす場所。 やからどうでもええ事はない。 むしろ、どうでもよくない。 「……どうする? 隠せる布とかあった?」 そこだけ9時までは開いているフードコート。 この何とも言えない感じ。 「……あったかなぁ。 なかったらベットカバーか、 最悪バスタオル」 あながち冗談でもない。 「……じゃあ俺も、 戻って探す」 って……リクさん。 まじまじと見つめた。 「……それは、あかんくない?」 あなた、彼女いるんだし。 人のもんは盗ったらダメ。 盗られた事は、あったとして。 「…深読みし過ぎ」 リクの白目はちょっとだけ。 それが青い。 子供みたい。 「……そーですな。ハハ」 おどける。 そして、話そらす。 「……家出少女?」 貸し切りみたいなフードコート。 私たちテーブルと、もう1組。 少女たちの金色の髪は、 少女たちと同じに疲れている。 抱えた大きなボストンも、 足元にある、 薄汚れたキ〇ィちゃんのスリッパも。 「……さあ。 出たくなる、家なんかも」 リクはあっさりと、 ばっさりと、切り捨てた。
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