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2人はなにを。
そんなことを思う前に、
ティッシュでは足りず、
バスタオルで頭をぐるぐる巻きました。
身体中の水分が、
脱水されていくようです。
それほど、泣きました。
ものすごく悪いことをしていて、
見つかったかのように
泣きました。
半分は、懺悔。
半分は、やっと悪さが見つかった、
その安堵感。
どっちに戻って来て欲しいと思うか。
それを考える前に、
リクから電話がきました。
『……スッキリした?』
泣きやんだ?でも泣く、
もう泣くな、でもない。
リクはそう言うと、
息を吐く感じが、
電話越しに、伝わりました。
『……俺、このまま帰るわ。
忘れもん、してないし』
『………………うん』
見渡すと、リクの物は
何もありません。
少し寂しい、感じがしました。
『……それと……』
遠くで聞こえる
横断歩道の音楽が、
こっちと、電話とで
聞こえます。
まだ、リクは下にいる。
それだけでなぜか、
切ないのでした。
『……あいつ、潤太郎、
部屋で待ってるって。
頭整理したいから、
1時間ほどしたら来て欲しいって』
『…………あ……うん……』
鼻水をすすると、咳が出ました。
『……全部、話したし。
あいつはずっと黙ってたから、
答えはあいつから聞いたら?』
『……うん……そうする……』
神様。
何度もすみません。
どうやら私以外にも、
ここに嘘つきがいるようです。
ただ、でも、その嘘は、
知られるきっかけを、
知りません。
『……じゃあな』
ありがとうと言うその前に、
また電話は切れました。
ほどなくしてワーゲンの、
エンジン音は、
遠ざかりました。
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