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「水難の相がでとる」
あたしは友達の家からの帰りにとある僧に妙ちきりんな事を言われた。
「はぁ?
占いか何かの類ですか?」
いるよね……。
無駄にこういう事いうクソ坊主。
「占いとか西洋なものはわかりません」
わからないなら話し掛けるなっつーの。
「あたしに構わないでください」
あたしはプイッと僧に背を向ける。
「……信じるも信じないも貴女次第」
そう言うと僧はさっさと何処かに行ってしまった。
「何よ何よ!
何が水難の相よ!
こんなに晴れてるのにありえないわ!」
地団駄を踏んであたしは悔しがる。
あたしは占いとか信じない。
信じないんだから……。
ポツポツ……
「はい、お決まりのパターン。
取り合えず雨宿りしよう……」
ずぶ濡れはマジ勘弁。
取り合えず、本屋さんに避難。
「何でダダ振りなのよ……」
あたしは本屋から外を見る。
「天気予報は雨だって言ってたぜ?」
あたしの横にいた男が馴れ馴れしく話し掛けてきた。
「立ち読み男に言われたく……ってアンタは藤崎 琢也(ふじさき たくや)!」
この金髪で長身イケメン、パッと見ホスト風な男は紛れもなく藤崎 琢也!
あたしの元カレ
「あ、お前は雨宮 梨乃(あまみや りの)。
相変わらず雨女だな」
相変わらずの憎まれ口。
だけど、何か懐かしいなぁ。
「……アンタに言われたくないわ。
アンタとデートの度に雨でいつもずぶ濡れになって」
そうなのよ。
きまって雨が降ってデートはほぼインドアだったなぁ。
「雨女に言われたくない。
他の奴らと遊ぶ時は晴れてて、何で梨乃の時は土砂降りなんだよ?」
確かにあたしは不幸を背負ったような女だけど……酷い言い方よね。
「水も滴るいい女だからね。
見てよ、このみずみずしい美肌を!」
そうよ!
開き直りは肝心よ!
でも美肌は間違いじゃないんだから。
このツルツルお肌は自慢なんだから。
「あっそ。
今更関係ないな」
はぁ?
あたしの美肌が気に入らないの!
やっぱあたしに魅力を感じないだな、コイツは。
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