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顔などのパーツは無く、あるのは正に線で描かれた頭胴体四肢だけ、なのに喋れるし歩けるしその行動を理解することができる。
運を命ずる者、遠回しに自分は神様って言っているようなものじゃないか。
多分こちらの反応もある程度予測し(こんな体験をすれば殆どワンパターンな反応が多いだろう)、マニュアル通りの返しで一気に相手のペースに飲まれてしまう。
驚きたい自分を我慢(押し殺す)して、彼はこう言った。
ワンパターンな反応として、まず驚く。
それから続くパターンは幾つかに枝分かれするが、どれも悪役の捨て台詞並のお決まりパターンと言える。
相手への詮索、お前は誰だとかどうして此処にいるだとかetc…先程の和真もやったパターンだ。
このお決まりパターンに対して既にある程度の対応を相手は練っていると考えた上で、和真が起こした行動とは。
「お前は…俺に何をさせる気なンだ?」
そこに至るまでの過程を省略することだった。
シュバルツは運命を宣告しに来たのだと自己紹介で予想できる、きっと自分に何かをさせる為に此処に存在している可能性が高い。
突然本題に移行させれば相手のペースに飲まれず、平行線で話しが進む筈。
この考察が外れていたらかなり恥ずかしい、当たっていれば彼の自信は大きくなる。
当たってくれ、スタートぐらい決まってくれ。
和真は気付いていない、彼だから気付けない。
ここは彼の心の中、上記は心の呟き。
今、この空間に彼の心の呟きがリアルタイムでアナウンスされている。
相手は勿論彼の考えていること全て筒抜けである。
逆に聴いてて恥ずかしくなったシュバルツはそのことを和真に話す。
顔を赤くした(真っ暗で確認できないが)和真は暫く落ち込んでしまった。
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