23人が本棚に入れています
本棚に追加
内側? ここがその内側だとして……。
外側…ゴキブリ…おいおいまさか…。
恐らくこの不安は的中する、根拠の無い確信だが和真は気付いてしまった。
それに感づいたシュバルツは見えない笑みを浮かべて彼の確信を本物する。
「鋭いね、別に本物のゴキを殺してと頼ンでるワケじゃない、ゴキブリを借りて述べただけ…比喩だよ比喩、ある人間を殺して欲しいッてワケだ」
人を殺して欲しい? 俺がか? この俺がか?
「そう、キミがだ」
和真の焦りはシュバルツにも伝わっている、冷静にならなければならない、相手に飲まれてしまう。
ここで冗談半分であしらおうとしても意味は無い、無駄な抵抗に等しい。
なら受け止めるだけ受け止めて、耐えきるしかないじゃないか。
「理由…ッは?」
「理由?」
「何故俺に頼む、俺じゃなきゃダメなのか、あンたがダメな本当の理由は?」
「おいおい、さッきそれを省略してくれたンじゃないのか?」
省略したさ、なのに改めて聞く俺はカッコ悪いさ、ここまでおかしな方向に行くとは誰も思わないからさ。
シュバルツは考える、どう伝えれば何も知らない操り人形になってくれるか。
「キミを選ンだ理由、それはキミが物語の主要人物だからだ、よくマンガの最初のページで紹介される登場人物みたいな」
「登場…人物?」
「キミじゃなきゃいけない理由、もッとも成功率が高そうだから、飽くまでも高そうね」
誰でも良かったってことか。
「私が殺れない理由、先程も言ッたが私はこの夢空間…精神空間…全ての人間が持つ個人世界でしか存在できない&干渉できないからだ」
「……?」
「ここが理解できないか、簡単に言えば私は人間(生物)を管理している存在だ、喜ばせ、風邪を引かせ、発狂させ、お腹を空かせ、歩かせ、最後は死なせるようプログラミングをするのが私の役割だ」
理解できない、和真は嫌な何かを感じ取った。
理解しようとしないのでは無く、理解できない…してはならない、奴の話しはどこかおかしい、どこか引っ掛かる。
「話しを戻そう、殺して欲しいある人物は会えばすぐにわかる、君たちが纏ッているスーツや雰囲気が違うからね」
最初のコメントを投稿しよう!