1人が本棚に入れています
本棚に追加
2人の距離は確かに近付いていたけれど、その距離が縮まれば縮まるほど手が届かないと身にしみる。
それはきっと1ミリにも満たない程小さくて、けれど絶対に埋まることのない隙間。
思いの丈は誰よりも大きいのに
同じ性というだけで僕たちの距離がゼロになることはない。
巡はいつでも優しいから、僕の気持ちを受け止めてくれるだろう。
ひょっとしたら親友以上にだってなれるかもしれない。
けれど僕は、その先を求めてしまうんだ。
同姓が踏み込むことのできない聖域。
1人の異性に注ぐような恋愛感情。
そのとき彼はどんな表情をするのだろう?
――軽蔑?
――嫌悪?
いや、違う。
僕は誰よりも巡を知っている。
常にみんなに優しい巡はそんな表情は見せない。
かといって驚きとか、そんなのでもない。
本当に――本当に辛そうな顔をするんだ。
そして誰かを慕ったことのあるひとなら分かるように、好きな人の表情で一番みていたいのは笑顔なのだ。
無論、男の僕でもそれは例外ではない。
巡にはずっと笑顔で居てほしい。
僕の一方的な感情をぶつけて、笑顔を奪いたくない。
もともと、僕は今日告白をするつもりだった。
思いを伝えて片思いの切なさを共有してほしかった。
けれど、やっぱりできないや・・・・・・。
あんなに楽しそうな顔、崩したくはないもの。
最初のコメントを投稿しよう!