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「うーみはーーひろいーーーなーーおーーーーーきーーーーなーーーーー」
少し調子の外れた民謡は白波のコーラスに溶け込み、やがて跡形もなく流れ去る。
夏も過ぎ去ろうかという8月下旬。
こんな田舎に人はいるわけもなく、私が葦原一美(よしはらひとみ)が1人佇んでいるだけだ。
「帰るか・・・」
やることもなくなったし、日もすっかり落ちてしまっている。
今日は父親も早めに帰ってくるので夕飯の支度ぐらいはしておくべきだろう。
「なんで私があんなやつを気遣わなきゃいけないんだか・・・・。」
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