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実は今日も彼と行動を共にする予定で、僕は約束の場所でずっとソワソワしている。
――今日の格好変じゃないかな?
――おかしなこと言っちゃダメだからね
ありとあらゆるシチュエーションを想像しながら1人ドキドキしていると、ようやく見覚えのある人を見つけた。
「巡くん!こっちだよ!」
どうしようもない喜びを抑えきれずに声をかけ手を振る。
向こうも気づいたらしく、手を上げ僕の方へ向かってきた。
「おまたせ。ちょっと別の用事が重なってさ……」
「大丈夫だよ。僕なんて15分前まで寝てたもん。」
「15分前って……お前も相変わらずだよな」
「む……これが僕なんだから仕方ないじゃん。お母さん達に説明してたら夜中になっちゃってたし…」
「それは俺もだよ。あの人デートデートうっせぇんだわ」
僕はデートでもいいよと言いそうになるのを抑え、曖昧に頷き返した。
彼には気持ちを伝えていない。
伝えたところで困らせるだけだろうし、好きな人が困る姿なんて見たくないのだ。
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