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膝で眠る藍樹の柔らかい巻き毛を撫でる。
そう訊かれるのも理解出来る。
藍樹と伽藍の容姿は余りにも違って居た。
伽藍は癖のない黒髪。藍樹は巻き毛の金髪。
瞳の色も藍樹は淡い緑色。伽藍は髪と同様の黒色。これは魔力で隠して居るが、本来の色は血の赤色。
これが、吸血鬼の証。
この証で、人間は吸血鬼を判別して居た。
だから魔力の大半を瞳を隠すのに使っていた。
「兄で在りたいと思っています」
本当の事を言う。
もう自分は去るべきなのだ。
藍樹の事は、オリビアが面倒を見てくれる。
我が子同様に大事にしてくれていた。
ずいぶん前から、そう考えて居た。
選ばせるつもりだった。
自分の傍に居させるつもりだった。
だが、情が沸いた。
そうなるのは、本当は判っていた。
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