愛したくて愛された僕

5/17
前へ
/80ページ
次へ
  「あのね……私の子どもにしても良いのよ? ラフも、良いって言ってるし」 この夫婦なら良い親になるだろう。 「ママっ!」 オリビアに飛び付いて来た男の子。乳兄弟のフフも居る。 「勿論、貴方も一緒でね」 それは望んでないと解って居る。 「そう、ですか。有難いお話です」 「んん……」 その時、藍樹が目覚めた。 「ん。がらん……」 淡い翠色の瞳が伽藍を見る。 その瞳は陽の光に当たると、まるで宝石みたいに輝いた。 見つめられると、なかなか目を離せない。 感情は、無くした筈だっ た。 否、上手く隠して居た。 けれども、藍樹の前では簡単に崩れて、伽藍の感情が溢れそうになる。 「やあ、おはよう藍樹」 そうした毎日は、手放すには惜しいと思える程に幸せを感じて居た。    
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加