生きたくて死にたい僕

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  いつもの様に少年は闇夜を歩く。 暑くなり始めた季節には不釣り合いな長袖の衣を纏って、涼しげに歩みを進める。 それは街中であったり、次の瞬間には山の中だったり、けれど、どこであれ同じなのは“空中”を走ると言う事。 空を駆けながら、いつもの様に考える。 奴の所から逃げてどれくらい経ったのか? それがずっと少年の心を占めて居た。 心はがんじがらめで動けずに居る。 それでも外気に触れ、自由を満喫する。 目下少年の全てはそれだけだった。 囚われて。 奪われて、 それでも尚、生きていたい欲求は無くならなくて。 だから、死しても生きる事を手放せなかった。 少年の名は、伽藍(ガラン) 人で在ったのはもう随分昔の、人の間で語られるだけの“存在”に成った少年。 “吸血鬼”の伽藍。   ... 否、吸血鬼の糧と成った少年。 それが、伽藍だった。  
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