生きたくて死にたい僕

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  あの時小鳥は、逃げる間もなく捕まった。捕まって、伽藍の目の前で引き千切られた。 それは伽藍の運命を変えた瞬間。 小鳥の小さな体からは、それ相応の血液が飛び出し、それが一粒、伽藍の唇に落ち、本能でその血を舌で舐め採る。 「おぉー――っ!!」 主は叫んだ。 伽藍が自由を手に入れたから。 他者の血を摂取すると、自身は“血の呪縛”から逃れ、初めて口にしたその血の主を“血の呪縛”で縛り、伽藍は成熟した吸血鬼と成る。 それは思いもよらなかった奇跡。 血液を口にした途端、その知識はなくとも事実を知る。 そうして伽藍は主人で在った者から逃げ出した。 羽音が耳を掠める。          ... 温かい羽根を広げて小鳥達が空へ羽ばたいたのだ。 物思いはその羽音と共に断たれた。 この三羽の小鳥は犠牲になった小鳥の兄弟で、同じ血を持っていた。だから伽藍は完全なる吸血鬼に成れたのだ。  
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